肥満症とは
肥満とは、簡単に言うと体に余分な脂肪が付いている状態です。医学的にはBMIという数値を使って判断されます。
BMIの計算方法と診断基準
- 体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)=BMIの数値
- BMIの数値が、現在は18.5 未満なら痩せ過ぎ、18.5 以上25未満は普通体重、25以上は肥満とされています
この診断基準により肥満に該当する状態(BMIが25以上)で、それに起因する様々な健康障害を有している場合、肥満症と診断されます。該当する健康障害としては、2型糖尿病、脂質異常症、高血圧症、高尿酸血症・痛風、心筋梗塞・狭心症、脳梗塞、脂肪肝、睡眠時無呼吸症候群、変形性関節症、肥満関連腎臓病、月経異常などがあります。
肥満の95%は単純性肥満と呼ばれるもので、その原因は過食によるエネルギーの摂取過多、運動不足によるエネルギーの消費不足などの生活習慣によるものです。加齢によって基礎代謝が低下していくことも肥満を招く原因の1つと考えられています。このほかになんらかの病気や薬剤が原因となる二次性肥満があります。
メタボリックシンドロームについて
肥満の中でも注意すべきものとされているのが「内臓脂肪型肥満」です。これは腹腔内の腸の周囲に脂肪が過剰に蓄積するもので、たとえBMIが高くない場合でも内臓脂肪から身体に害を及ぼす様々な生理活性物質が分泌されます。これにより糖尿病、高血圧、脂質異常症などが生じます。こうした状態を指して「メタボリックシンドローム」と言います。
具体的な基準としては、臍の高さでの腹囲が、現在は男性が85cm以上、女性が90cm以上で、これに加え、高血圧・高血糖・脂質代謝異常の3条件のうち2つが該当するとメタボリックシンドロームと診断されます(※2024年3月に腹囲の基準値が男性85cm→83cm、女性90cm→77cmに変更する案が提唱されています)。メタボリックシンドローム自体にあまり自覚症状はありませんが、メタボリックシンドロームに該当する方は将来的な脳梗塞や心筋梗塞の発症のリスクが高いことが明らかになっています。
肥満症およびメタボリックシンドロームの治療について
治療の基本は減量となります。食事療法や運動療法を持続していくことが重要になりますので、当院では患者様一人ひとりのライフスタイルに合わせ、減量に対する動機づけやストレスへの対処法、空腹時にはどう対応していくかなどをサポートしていきます。
糖尿病のある方であれば、体重が減りやすくなる糖尿病薬を用いた治療を行うこともできますが、糖尿病の無い方への減量治療薬については保険適用による処方要件が厳しいため、自費診療を行っていない当院では処方が難しいかもしれません。気になって話を聞いてみたい方がおられましたらお気軽にご相談ください。